銀は銀のままで素晴らしい: 白い夜 ―サイレント・ナイト―

2014年11月1日土曜日

白い夜 ―サイレント・ナイト―

俺はこんなはずじゃない
もっともっと出来たはずだ
頑張ってやれば必ず結果はついてきたんだよ

手に入らないものなんて
これまで何も無かったんだよ
何も

手に入らなきゃ卑怯と言われよう画なんだろうが
思い通りになるまで何度もやればいいまでの話だった
それが今更なんだよ

寒い
寒い
もっと毛布をかけてくれ


 (電話で助けを求める周りの人々
 顔面蒼白で椅子にもたれかかった彼を心配している
 かなり慌ただしい)


うるさい 誰だ電話をかけているのは
静かにしろよ
叫ぶな うるさい


  (「まだうわごとを言ってるわ」
  「テツオ君、しっかりしなさい」
  「大丈夫だから」)


まだやれるはずなんだ
俺は
それがなんだよ!


  (テツオにだけ見える白い衣の男の子が現れる
  うわごとを呟き続けるテツオ
  男の子はテツオの手を取り うなだれるテツオの肩に手を置く)

  (視線を合わせる二人
  テツオの手を握る人々の表情が凍る)

  (男の子 幽体となったテツオの手を取り椅子から立たせる
  膝の毛布がずり落ちる
  周りでテツオの名を叫ぶ人々 皆椅子を凝視しながらゆする)


随分楽だな
俺は……そうか もうここまでか
お前は誰なんだ


  (薄れた意識のまま男の子に付き添われて
  歩みを進めるテツオ
  二人は向かい合った)

  (テツオ 男の子のフードを外そうとするが
  何かに気づき彼の顔を触る
  自分の顔と交互に触り比べるテツオ)

  (男の子の衣が外れる
  ストライプのスーツに緑のネクタイ
  テツオと全く同じ服装である)


お前 そうだったのかよ
なんだ俺か お前は弱虫な俺か
早く言えよ 泣けてくるぜ

俺はお前がずっと憎かった
肝心なところでいつもお前が邪魔をした
弱くて 臆病で 泣き虫で 自身が無くて いつも人と比べてばかりで

世の中には強い俺だけいればいい
どうして今までここに居る!?
なり替わろうって言うのか 俺が次に目覚めたら

 
  (男の子が初めて口を開く)
  ――成り代わるなんて僕たちの間には意味のない言葉
     僕はあなたであなたは僕だ


  夜霧に包まれたビルのオフィスで
  一人の男が天に昇った
  弱虫な自分をきつく抱きしめながら


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